星に願いを

〜かんじんなことは、目に見えないんだよ。心で見なくちゃ〜

蛇遣い座 球状星団M10・M12・M14

蛇遣い座あたりから天の川銀河にかけて、次第に球状星団の数が増えていきますが、蛇遣い座には、7つのメシエ番号のついた球状星団があります。

ただ、うちの庭からはちょうど蛇遣い座の胴体付近のM10・M12・M14が視界に入るのみで、M10より南のものはビル影になって見えません。

その上、おそらく光害のために、M10も見えず、当然、もう少し見えにくいと思われるM12、M14も見えませんでした。あ〜。

実視等級はM10が6.6等、M12が6.1等、M14が7.6等で、恒星ならこれより少し暗い星も見えているので、やはり薄雲などが都心の光を散乱して、望遠鏡ではやや星雲状に見えるこれらの球状星団の姿をとらえにくくしているのでしょうね。

新製品 Comet Scan 15x70 投入!

相変わらず、望遠鏡はいろいろ勉強してみているものの、お値段も様々だし、何より自分の観測スタイルがハッキリしないので、なかなか購入にいたらず、ぐずぐずしていたところ、7月にサイトロン・ジャパンさんから15x70の双眼鏡 Comet Scan が 18,000円くらいという低価格帯?で発売されたので、ダメ元というか、とりあえず購入してみました。

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サイトロン・ジャパン Comet Scan 15x70

で、さっそくM10を探してみたのですが、今年は7月下旬になってからも、天候不順の日が多かったこともあって、最初の数回はやっぱりダメで、もう少し集光力が高くないと見えないのかな、とがっかりしていました。

これは、望遠鏡の買い時かなと思い始めていたのですが、世の中がお盆休みに入って来たためか、台風のためか、この数日ちょっと星空が澄んできたような気がして、「もう一度視てみよう」と再チャレンジ。週末、とうとうM10・M12・M14の観測ができました〜!

といっても、おそらく一般の方に視てもらっても、決して「見えた」とは言っていただけないような、「あれかな〜」のレベル。まさに心の目で見るという感じです。

でも、今はまだそれでもいいかなと。適切な観測機材があれば、見えることはわかっているわけですから。星空に親しみ、各々の天体についての知識を増やして、気楽に星空を空中散歩できるようになりたい、そんな感じです。

蛇遣い座

さて、蛇遣い座ですが、88星座中で11番目に大きい星座ということですが、目立った星が少ないのと、蛇座の頭部と尾部の挟まれているので、星座のかたちが少し掴みにくいです。

写真は、蛇遣い座付近の星図です。だいたい私は深夜の仕事の合間に星を眺めているのですが、これは5月頃ですね。今は、30度ほど時計回りに移動しています。

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蛇遣い座付近の星座(アプリ iステラより)

星座絵も蛇座と一体で描かれているので、さそり座と比べるとその大きさが分かりますよね。蛇遣い座と蛇座を合わせると、88星座中、断トツの1位となるのですが、特に蛇遣い座のちょうど将棋の駒のようなかたちの内側は、特徴のある星の並びを見出すのが難しいです。

この蛇遣い座ですが、アポロン神の子、医聖アスクレピオスの姿ということです。謂われをとくと、アスクレピオスは名医中の名医で、人一倍医術に取り組み、あまりに熱心過ぎて、とうとう死者までどんどん甦らせてしまうようになりました。

死者がやって来なくなったので、不審に思った冥土の神プルートーンは、アスクレピオスが死者を甦らせていることを知り、大神ゼウスに訴えます。ゼウスは死者まで甦らせるその医術におとどきつつも、天地の秩序を乱すことはならぬと、雷電の矢を放ち、アスクレピオスは息絶えてしまったのですが、その名医ぶりを惜しんだ神々はゼウスに願って、星空に上げもらった、というお話です。

で、何故蛇遣いなのか、というと、古代ギリシャでは蛇は健康のシンボルとして神聖なものとされていたのですね。蛇が脱皮を繰り返すようすを、再生と健康の象徴とみたわけです。

ちなみに、お隣の射手座は、アスクレピオスの養父ケイロンの姿ということで、天の川の対岸から、アスクレピオスを見守っているらしいですよ。

そう言えば、最近ギリシャ語の勉強していないので、ちょっと寄り道して。

ところで、Pluto(プルート)といえば冥王星ですが、「冥王星」という訳語をつけたのは野尻抱影さんなんですね。いや、もちろん知っていましたよ(笑)。でも、Plūtōnが冥界を司る神だと知ると、さすが名訳だな〜と思ってしまいます。

球状星団M10・M12

やっと今日の本題ですが、下の写真はその蛇遣い座の胴体部分です。M10、M12はちょうどその掴み所のない空間に浮かんでいるのですが、最初は、なかなかその位置を確認することができませんでした。

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蛇遣い座の胴体部分(アプリ星座表∞より)

もう少し、M10、M12の付近を拡大してみると次の写真のような感じです。アプリ「星座表∞」のキャプチャー画像をもとに、作図したものですが、球状星団の周辺には主だった星(ギリシャ文字がふられた星)はなく、比較的めだたない星が点在している様子がわかります。

一般的には、ζ(ゼータ)星と ε(イプシロン)星を底辺とする正三角形の頂点付近を探すと、比較的明るい球状星団M10、M12が3°の間隔で浮かんでいるのが見つかる、という説明になるようですが、最初に8x42の双眼鏡で探したときは、球状星団が見えなかったので、もう少し周辺の星を特定して、まず、どのあたりに目をこらせば良いのか(笑)、から始める必要がありました。

まずM10ですが、ζ(ゼータ)星から、蛇遣い座の胴体部分の底辺に対して垂直に、蛇遣い座の頭の方に視線をやると、比較的明るい蛇遣い座23番、30番の星が見えるので、とりあえず30番の近くにある暗い星(ヒッパルコス83166、図中の①)を確認し、30番星からその星の延長線上にM10を探します。

次にM12ですが、M10が見えていれば、そこからλ(ラムダ)星の方向3°(一般的な双眼鏡の視野角が7°)の付近を探せば良いのですが、私の場合は、周辺の星の配置からM12を探す必要があったので、まず、λ星の近くの、12番から21番までのW型の比較的暗めの星の並びを手がかりにしました。

W型の配置が確認できたら、21番星から何となく視線を移していくと、さらに暗めの星ですが、③④⑤の星の連なりをイメージします。M12は③④の線分を④を回転軸に60°ほど時計回りさせたあたりに見えるはずです。

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蛇遣い座M10、M12付近(アプリ星座表∞から作成)

下図は拡大図です。M10は図中の①②の間にあります。①は視等級7.49、②は視等級7.57です。M10の実視等級は6.6等ですが、これを恒星と比較すると2〜3等級低めに見えるので、①②のラインが見えていても、M10が見える可能性は微妙なんです。

暗めの星といっても、①は地球からの距離3749光年、②は393.44光年なのに対して、球状星団M10は1万5千光年も離れているので、M10の方は双眼鏡や低倍率の望遠鏡では星雲状にしかみえず、①②が確認できてもM10は見えないということも、あるわけですね。

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M10、M12付近のの拡大

M12はさらに見つけにくかったですね。③④を底辺とする正三角形の頂点付近にあるはずですが、コールマン8x42では、少なくとも眼視では見えませんでした。

さらに探索場所を特定するために、⑥⑦⑧の暗めの星の連なりを確認していきました。⑥はヒッパルコス81687で視等級6.25、⑦はヒッパルコス81942で視等級7.41、⑧はピッパルコス82114で視等級8.12です。

M12の実視等級は、6.1等ですが、これも、恒星と比較すると7〜9等くらいになるので、⑥⑦⑧が確認できても、M12が見えるかどうかも、微妙というところです。

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M12の探索エリアを確認

で、今回、サイトロン・ジャパンさんのComet Scan 15x70を導入して観測してみたわけですが、結果、M10・M12とも、何とか確認することができました。よかった〜。

コスパの良い双眼鏡だと思うのですが、実際、8x42で見えなかったM10・M12を、まがりなりにもですが、確認できて、ホッとしました。やはり、集光力というのは、大切なんだなと、改めに思いました。何となく、望遠鏡も口径優先で、反射望遠鏡がいいのかなと、思ってしまいますね。

 

そういえば、いつも望遠鏡などのレビューで勉強させていただいているボスケさんが、Comet Scan 15x70 のレビューをアップされていたので、視聴しました。EDレンズ(アポクロマートレンズ)ではないので、球面収差があるのは仕方がないけど、強いて言えばそれだけで、コスパも考慮すると「100点満点」というレビューでした〜。お安いとはいえ、18000円ですからね。安心しました! 

今回くらいの星空の状態だと、13等級くらいまでは見えている感じなので、これなら限界等級だけでいうと、15センチ程度の反射望遠鏡のスペックに近いですよね。 ホント、おすすめです。

 

球状星団M10は、直径83光年、地球からの距離1万4300光年。M12は、直径100光年、地球からの距離1万6000光年です。

この2つの球状星団、7x50の双眼鏡でみると同一視野に見える唯一のペアということですが、実際の宇宙空間でも、3700光年しか離れておらず、隣あった球状星団なんだそうですよ。

 

こちらが、球状星団M10です。大変密集した球状星団なので、口径30センチで倍率を150倍まで上げても、中心部を分解するのは難しいそうです。

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蛇遣い座・球状星団M10(Wikipediaより)

こちらは、球状星団M12。M10とは対象的に、密集度が低く、口径20センチで150倍くらいまで倍率を上げると、中心部まで分解できて、見事な眺めとなるそうです。

何だか、そう言われると、やはり大口径?(25センチくらい)の反射望遠鏡が欲しくなりますね〜。

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蛇遣い座・球状星団M12(Wikipediaより)

M10とM12、近傍にあって、明るさも同じくらいなのに、まったくタイプの違う球状星団なのが興味深いと、何かに書いてありました。

球状星団にも、いろいろな類型があるのでしょうね。この辺りのことをいろいろ調べていっても、楽しそうです。

 

Wikipediaの蛇遣い座周辺の星図も載せておきますね。ちょうど、中心辺りにM10、M12とそれからM14があって、このあたりに目立った星がないことがわかります。

画面左下が射手座、銀河中心方向で、星雲・星団がたくさんあるようですが、うちの庭からは見えないんですよね。残念。

そろそろ、どこか観測場所を探さないとダメかなぁ。

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蛇遣い座周辺の星図Wikipediaより)

球状星団M14

球状星団M14は、標準的な双眼鏡ではなかなか観測が難しい方でしょうね。20センチの反射望遠鏡で、好シーリングにめぐまれたら、150倍程度で、はじめて周辺の星を分離できるそうです。

まあ、しかしComet Scan 15x70でのぞくと、一応、存在は確認することができました。例によって、「あれかなぁ」という程度ですけど。

こういう見つけにくい天体には、自動導入システムが役に立つでしょうね。一度使ったらやめられない、という声も聞きますね。カーナビと似たところもあるでしょう。私も車はカーナビに頼りっぱなしですが、バイクツーリングではカーナビはあまり使いません。音楽もあまり聴かない。走ること自体を楽しんでいるからでしょうね。

地図をみて、いろいろ寄り道しながら、目的地を目指す。そういうところが、星見にもつながるところがあるように感じます。まだ、写真を撮ったりとか、特定の目的がないので、「効率」が関係ないからかも知れませんけど。

 

M10・M12からM14に移動する場合は、下の写真のような2箇所のポイントがあります。まず、蛇座の頭の部分のような正三角形が、ぽっかり浮かんでいるのを見つけます。15倍でも視野に収まっているので、割とコンパクトにまとまった三角形です。

そこから東(左)に目を移していくと縦に連なる星の並びがあるので、その方向に視線を移します。起点になる星は、少し暗めの星が2つ並んでいるので、それが目印になりますね。

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M10・M12からM14の見つけ方(星座表∞から作成)

縦連なりの星からさらに東(左)の方向に、下図のような暗めの星の配置が見つかれば、M14は③の星のすぐ左下あたりにあるはずです。これらの星は少し詳細な星図でも記載がありませんが、最近はスマホアプリの星図があるので、私はそれを活用しています。

③はヒッパルコス36232で、視等級7.43、距離243.41光年です。②は12.70等、①は12.22等、④は11.81、⑤は12.51、⑥は10.44です。M14の実視等級は7.6等なので、恒星に換算すると9〜11等くらいで、なかなか見えづらいです。

ちなみにM14の視直径は11′で、M10は20′、M12は16′なので、見かけ上の大きさからも、M14は見つけにくい球状星団といえます。

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球状星団M14付近の拡大

球状星団M14は、直径100光年、地球からの距離3万300光年です。M10、M12の2倍も遠い球状星団なのですね。

こちらが、球状星団M14です。タイプとしては、密集型のM10に近いそうです。

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蛇遣い座・球状星団M14(Wikipediaより)

(おまけ)

なかなか良い双眼鏡なのですが、やはり15倍なので、しっかり持っても微妙にぶれて、見えにくい天体がさらに見えにくくなる、ということはありそうです。

というわけで、次は180センチ程度の高さのある三脚と、微動雲台、あと双眼鏡を三脚の横出し出来る雲台プレートがほしいな〜と思いました。

あれ? 少し天文機材の知識がついてきたかな〜。 ボスケさん、ありがとう!

 

 

琴座 惑星状星雲M57と複連星

七夕(たなばた)

今日は新暦の七夕ですが、ここ京都はあいにくの雨。でも、コロナ禍で各地の七夕まつりは自粛でしょうね。

もともと、新暦7月7日は、まだ梅雨前線の影響が残っていることが多いですし、今年はたまたま新月に近いですが、月が明るいと、地方でも天の川が見えにくいです。

地方では、月遅れの8月7日に七夕の行事をされるところが多いですが、やはり旧暦の7月7日に行われていた行事ですから、そのあたりが条件としては一番良くなります。

今年は8月14日が旧暦の七夕。だいぶ先ですが、東京は、8月22日まで緊急事態宣言に入るようなので、このまま自粛ムードが続くかも知れませんね。

 

こちらは、アプリ「iステラ」で描いた新暦7月7日の星空です。これから次第に立ち上がってくる天の川銀河も、8時過ぎくらいでは、まだ東の空低く、北天に近い織女星はよいのですが、牽牛星はまだまだ高度が物足りないですね。

 

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新暦七夕の星空(7月7日20時頃)−アプリ「iステラ」より

試しに、カレンダーを今年の旧暦七夕の8月14日に設定してその頃の星空を描いてみました。5週間後となりますが、同じ時間でもだいぶ高度が上がります。琴座はもうほぼ天頂付近にありますね。

 

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旧暦七夕の星空(8月14日20時頃)−アプリ「iステラ」より

七夕伝説についての解説は、たくさんありますが、こちらは、国立天文台の「よくある質問」のページから。

 

よくある質問 | 国立天文台(NAOJ)

 

いかにも国立天文台らしく?、織女星牽牛星は14.4光年離れているので、1夜どころか、年に1度も会うことはできません、というのがオチになっていますけど。(笑)

 

ところで、七夕(たなばた)というのは、いかにも当て字っぽいですよね。

Wikipediaの「七夕」の解説によると、もともとは、中国で太陰太陽暦の7月7日に乞巧奠(きこうでん)という針仕事の上達を祈った儀式が行われていて、南北朝時代ごろに、これが織女・牽牛伝説と合わさって、現在の七夕のストーリーが出来ていったようです。

日本に伝わったのは奈良時代、一般に広まったのは江戸時代ということです。

で、なぜ七夕を「たなばた」と読むのかですが、日本には、もともと棚機津女(たなばたつめ)の伝説というのがあって、七夕に「たなばた」という読みをあてたという説明が一般的ですが、はっきりしたことはわからないようですね。

棚機津女(たなばたつめ)の伝説はともかく、日本に古く「タナバタ(棚機)」という特別な女性の織り手がいて、日本の「タナバタツメ(棚機つ女)」という布を織る女性と、中国伝来の織女という布を織る女性が重なり、「タナバタツメ」「タナバタ」という大和言葉に「七夕」という漢語の表記が当てはめられた、ということは言えそうです。

 

キトラ古墳壁画

なかなか本題に入れませんが、これを書きながら、ふと去年だったか、愛娘のランドセルを買いに奈良県の明日香村に行ったとき、ふらっと立ち寄った明日香村の古墳の資料館で、確か昔の星図のようなものを写真に撮ったような気がして、探してみたら、ありました〜。こういう撮影日が曖昧なときは、Googleフォトの地図検索が助かります。

じゃじゃん。

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キトラ古墳の天文図(一部)※180度回転しています

織女星牽牛星の部分を拡大したものが、こちらです。

写真のちょうど中央に「織女」の文字と「<」の形の星座が描かれています。これを中国星座では「織女三星」というらしいです。

それから、「織女」から真っ直ぐ下がったところに、「河鼓(かこ)」の文字と3つの星を繋いだ星座が見えますが、こちらは「河鼓三星」。

聞き慣れない名前ですが、七夕伝説が広まるにつれて、現在の山羊座付近の別の星座に割り当てられていた「牽牛」という名前が、この星座に割り当てられるようになったそうです。ややこしい。

 

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「織女」が織女星、「河鼓」が牽牛星の属した古星座

ちなみに、このキトラ古墳の古星図は、昨年「日本天文遺産」に認定されたそうですよ。

 

 

現代の星図のルーツ

星図ついでに、もうひとつ。

最近、メソポタミア以前の古星図に興味が出てきて、これまで、今日に伝わる星図ギリシャ神話にそのルーツにもつと思っていたのですが(まあ、だいたいそうなのですが)、当然、ギリシャ文明以前にも、天文学は営々と積み重ねられていたわけで、古代エジプトメソポタミア時代に、星図がどのように描かれてきたか、いろいろな研究がなされていて、興味深いです。

 

こちらは古代バビロニアに完成していたと思われる星図です。

鷲座を思わせる「Eagle & Dead Man(鷲と死者)」が見られますが、琴座のところには「She Goat(雌ヤギ)」が、白鳥座の付近には、「Panther(パンサー)」が描かれています。She Goat の星座絵は飼い主でしょうか。ちょうど椅子の部分が現在の琴座の平行四辺形の部分でしょう。Pantherは猛獣ですが、羽根があります。これは白鳥座の羽根の部分に継承されたようです。

 

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古代バビロニア星図(紀元前1000年頃まで)「星座の起源」p368より

次は、古代ギリシャ星図をアラビア風に描きなおしたもの、ということです。これはほぼ今日に伝わる星座の原型となっています。

琴座(Lyra)のところが亀の星座絵になっていますが、これはもともとリラという楽器を亀の甲羅に弦を張ってつくったという伝説からきているのでしょう。鷲(Aquila)の足元に描かれているのは矢座(Sagitta)で、これも今日に伝わっていますね。

 

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古代ギリシャ星図をアラビア風に「星図の起源」p378

まあ、一見して、古代ギリシャ星図が、先行する時代の天文学の成果の上に築かれたということは、理解できます。『星図の起源』おすすめですよ〜。

 

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星図の起源』(近藤二郎、誠文堂新光社

惑星状星雲 M57

では、いよいよ今日のお題。琴座の惑星状星雲M57と複連星です。

こちらは、現代の星座の琴座です。

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琴座(アプリ「星座表∞」より)

琴座の星座絵ですが、平行四辺形の部分に「リラ(琴)」が描かれているのはよいのですが、何故「鷲」のイメージなのかなと一瞬思いましたが、鷲といえば、織女星=ベガ(Vega)の名前の由来ともなった、ベガを頂点とする正三角形が、アラビア語で「落ちる鷲(アン=ナスル・アル=ワーキ、an-nasr al-wāqi )」と呼ばれていたため、たぶんその名残りなんでしょうね。

 

さて、M57ですが、こちらはメシエ天体ですが、惑星状星雲なので、もともと双眼鏡での観測には適していないということです。

望遠鏡も、いろいろ勉強してみているのですが、まだよく分からないので、ここはもう少し双眼鏡でがまんして、いろいろな天体を知ることから始めたいと思います。

 

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琴座。ベガを頂点とする正三角形が「落ちる鷲」(アプリ「星座表∞」より)

M57は別名「環状星雲」「リング星雲」と呼ばれて親しまれています。

見つけ方は比較的簡単で、琴座のβ(ベータ)星とγ(ガンマ)星をむすぶ線の間の β 星寄りを探すとすぐに見つかるらしいのですが、等級が暗いので、私の双眼鏡では、見えないかも知れません。

まあ、一応、覗いてみたいのですが、早く梅雨が明けないかな〜。

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惑星状星雲M57の見つけ方(アプリ「星座表∞」より)

 ちなみにスラファトはアラビア語で「亀」を意味するそうで、亀の甲羅に弦を張って琴を作ったことに由来します。シェリアクはアラビア語で「琴」を意味する al-salbāq に由来するとのこと。

で、こちらがM57です。

 

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惑星状星雲M57(Wikipediaより)

これはハッブル宇宙望遠鏡の公開画像なので、音楽で言えば、ウィーンフィルで「美しき青きドナウ」を聴くようなものですよね〜。

でも、アマチュア天文家でも、美しいM57の写真を撮られている方もおられますね。すごいな。私もいつか先輩方のような天体写真を撮ってみたいです。プロの一流の演奏を聴くのも楽しいですが、自分で楽器を奏でてみるのも、それはそれで、いいものです。

 

アストロアーツさんの解説によれば、口径20センチくらいの望遠鏡でも、かなり楽しめそうですね。私の目標は、25センチ以上なので、まずまずの写真が撮れるかも知れません。

まあ、まずは勉強しないと。

 

M57は、地球からの距離、2300光年。視直径1'くらいで、だいたい金星と同じですが、等級が8.8等なので、「惑星状」といっても全く別物ですね。

星雲の大きさは、2.6光年くらいで、これは太陽系の大きさを仮に100天文単位(太陽系辺境サイズ)とすると、およそ1640倍のサイズとなります。(1光年を63241天文単位として計算しています)

数字の話で恐縮ですが、2.6光年というのは、上記の上坂さんが撮影されたM57に映し出されている周辺のガスの広がりも含めた大きさです。これで視直径3'8くらいで見積もられていると思います。

実際はここまで映し出すのは大変なので、明るいリングの部分だけだと、0.7光年くらいですね。それでも太陽系のおよそ440倍になります。(tan1'4×2300光年=0.7光年)

 

年齢は、7005歳ということなので、まさに古代エジプトメソポタミアの頃に、超新星爆発したのですね。星雲の膨張速度がわかれば、年齢は計算できそうですが、超新星の記録が残っていると、爆発の時期を正確に特定できるでしょう。

7005歳というのが、何となく爆発の観測記録があるかのような数字ですけど、ネット上にあまり記述がないので、そのような記録はまだ発見されていないのでしょうか。

 

琴座 ε 星:複連星

琴座 α(アルファ)星のベガ、ε(イプシロン)星、ζ(ゼータ)星でつくる正三角形が「落ちる鷲」と呼ばれ、α星ベガの名前の由来となってるというお話でしたが、この ε 星、ζ 星はともに二重星で、さらに ε 星はめずらしい複連星なので、人気があるようです。

永らく天体観測から遠ざかっていたので、何年か前、伊吹山の天文観望会に出かけたときは、恒星に望遠鏡を向けていると、「恒星を見ても仕方ないのに」なんて思ったりしたことをときどき思い出して、恥ずかしくなります。(汗)

恒星は望遠鏡で覗いても、基本的に点光源にしか見えません。しかし、その輝きは色や明るさも様々、何より、その配置は天の川銀河の構造そのものを内側から覗いているわけです。つまり、夜空に輝く恒星のすべては、太陽系の所属する銀河で生まれた兄弟星。そう思うと、星々の一つ一つの輝きに、また以前と違った親しみのようなものを感じるようになりました。

星の一生を知ることは、宇宙の歴史に触れること、さまざまな元素を生み出し、生命を誕生させた悠久の宇宙の営みに気づくこと。何事もそうだと思いますが、学ぶことを通じて、だんだんと、それまで見えていなかった物事の様々な面が見えてくるものですよね。

 

さて、これは琴座の「織女三星」を拡大したものです。α星がベガ。織女星です。

 

で、ε 星の方は、この星図をみても、すでに二重星だということは、分かりますね。ただ、この二重星が真の連星かどうかは、まだ分かっていないようです。

この2つの星(それぞれがまた連星なのですが)の実際の距離は、かなり離れていて、仮に真の連星なら、その公転周期は数十万年になると考えられています。

 

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織女三星。ε 星は複連星、ζ 星も連星です(アプリ「星座表∞」より)

ε 星は、左側をε1星、右側をε2星と呼び、地球からの距離は、160光年くらい。前述のように、ε1星とε2星が真の連星かどうかはまだわかっていませんが、ε1のAB、それからε2のCDは、各々真の連星です。

ε1のABは、およそ120天文単位の距離で、公転周期1700〜1800年。ε2のCDの方は、およそ距離110天文単位で、公転周期720年と見積もられています。

 

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琴座 ε 星の拡大イメージ(連星が各々さらに連星になっている)

こちらは、ζ 星。これは見かけ上の二重星でした。ζ1 は地球からの距離154光年、ζ2は150光年の星です。

 

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琴座のあたりも天の川銀河の中心に近く、実は太陽系はこちらの方向に向けて秒速19キロで移動しているそうです。

太陽系の進行方向を大陽向点といいますが、その付近にはちょうどベガがあって、ベガはまた、太陽系の方向に向けて移動しているので、今から32万5千年後には、太陽系はベガと行き会うことになるとか。

その時は、ベガが北天において、現在のシリウスよりまばゆく、青白い光を放っていることでしょうね。

恒星(天球上で動かない)と言いますが、数万年、いや数千年であっても、時を経るにしたがって、夜空の様子もまた違った趣になるようです。そんなことを思いながら、星空を眺めてみるのも、また楽しいですね。

 

 

今日は、記事でふれたので、なつかしいウィーン・フィルの2015ニューイヤーコンサートをお届けします。曲は「美しく青きドナウ」(シュトラウスⅡ世)、指揮は小澤征爾さんです。

 

 

それでは、皆さまもどうぞよい週末をお過ごしください。

 

 

京都花山天文台の将来を考える会

京大花山天文台は、京都東山に建てられた、日本で2番目に古い天文台です。

ご存知の方も多いと思いますが、京大 岡山天文台の設立を機に、花山天文台は廃止されるということで、その存続を求める声が次第に高まっています。

それで、今、京大関係者をはじめ、京都市民、サポート企業などの働きかけで、花山天文台の周辺を、市民や子どもたちが気軽に天文に親しむことができるよう、天文ドームを持つ本館(建築家 大倉三郎設計)など既存の建物はそのまま保存し、プラネタリウム棟や、野外劇場、広場、店舗、カフェ、宿泊棟などを新設する、一大プロジェクトが進められようとしています。

私は、最近、公設の天文台が、アマチュア天文ファンに、望遠鏡を開放していたりするので、京都周辺でも、そういう施設があったらいいなと思って調べているうちに、このプロジェクトの事を知りました。

恥ずかしながら、私は知らなかったのですが、2020年1月、ライブツアーで来日中のクィーンのブライアン・メイ氏が花山天文台を訪れ、このプロジェクトへの力強いサポートのメッセージを残されたことが、大きなニュースとなったようですね。

実は、妻はクイーンの大ファンで、それほど天文に興味はないと思うのですが、ブライアン・メイが花山天文台を訪れて、存続へのメッセージを発信してくれたことは、当然のように知っていたので、ちょっと驚きました。(笑)

 

 

サポート企業などの協力で、基金も何とかスタートできたようですが、しかし、計画実現に向けては、まだまだ、大きな世論のバックアップと、資金的な裏付けが必要でしょう。

私も、このプロジェクトの概要を知るにつれ、京都東山に、アマチュア天文ファンや子どもたちが集える天文のテーマパークを実現できたらいいなと、強く思うようになって、先日、とうとう「京都花山天文台の将来を考える会」に入会してしまいました。

入会の記念に、花山宇宙文化財団編の『星を見つめて 京大花山天文台から』(京都新聞出版センター)も購入して、読み始めています。

 

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『星をみつめて 京大花山天文台から』(京都新聞出版センター)

 

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巻頭グラビアから。写真中央がブライアン・メイ

 私も、妻の影響で、クィーンのファンになってしまったのですが、この本の巻頭グラビアには、ブライアン・メイが訪れた際に本館天文ドームで撮った記念写真や、45センチ屈折望遠鏡の架台に書かれたサインなども掲載されていて、それだけでも楽しめますね。

 

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望遠鏡の架台にブライアン・メイのメッセージが

 

下記は、ブライアンメイのインスタグラムからの転載、ということです。

I'm supporting the observatory's fight to stay alive - a vital source of inspiration for a new generation of young amateur astoronomers - kids whose imagination catches fire when they experience this glorious heritage. KEEP KWASAN ALIVE !!!

日本語訳

花山天文台の存続への戦いを支援します。 子どもたちが、このすばらしい歴史をもつ天文台を訪れ、あこがれ、次世代の若いアマチュア天文学者のインスピレーションの重要な源となるように、花山天文台の存続を!

(巻頭グラビア P2より)

 

「京都花山天文台の将来を考える会」ですが、2口入会すると、年に数回、天文観望会に招待してくれるそうです。子どもは無料。同伴者も割引きしてくれます。

1口3000円/年 なので、興味のある方は、ぜひ入会されてはいかがでしょうか?

入会すると、天文台内に名前を掲示してくれるそうですよ。それだけでも、花山天文台と何か縁が結ばれたようで、うれしい気分になります。

 

花山天文台の将来構想については、以下の動画がわかりやすかったです。先日、京都市の財政が悪化しているとの報道がありましたが、もともと、補助金打ち切りという話で、市民と民間の力で何とか存続を模索しているプロジェクトですから、関係ないでしょう。事業主体の経営基盤を強めていくしかないわけですから。

京都市街の光害は、確かにマイナスですが、こんな大都市の近郊に天文パークが誕生すれば、パリのラ・ヴィレット公園のように、京都の新しい観光名所にもなるでしょうし、アマチュア天文ファンの国際会議や様々なイベント基地、子どもたちの天文宇宙への体験施設としてなど、活用に向けた夢が膨らみますね。

 

花山天文台・将来構想(ナレーション付き動画)(武庫川女子大学建築学科)より

youtu.be

【参考】

 

最後に、マンガ家の竹宮惠子さんのブログから。

私はマンガを読まないので知らなかったのですが、マンガ大好きの妻は、当然、竹宮惠子さんが、このプロジェクトの推進メンバーであることも知っていました。

『星をみつめて 京大花山天文台から』にも寄稿されていますので、ファンの方は読んでみてはいかがでしょうか?

 

 

映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、フレディが、ブライアンに「​おまえは誰も読まないような、つまらん論文をせっせと書いてる」と突っかかるシーンがありますが、ブライアン・メイ、実は本当に宇宙物理学者なんです。

ブライアン・メイ、まさに天に二物を授けられた人、なんですね〜。

 

夜も更けてまいりました。今、午前4時40分です。ささやかながら、本プロジェクトの成功を祈って、乾杯しましょう!

最近のお気に入りは、バーボン「Four Roses」です。

ミュージックはもちろん、「Bohemian Rhapsody」(映画版オフィシャル)。

 

 

それでは、皆さんのご多幸を祈りつつ。おやすみなさい。

 

 

ヘルクレス座 球状星団M13

この週末は梅雨の中休みで、久しぶりに星空が見られました。この水曜日が皆既月食だったので、惜しかったですね。

6歳の娘に、月食の解説動画を見せてやると、「月が地球の影に入る」というのは何となく分かったようです。影踏みが好きなので(笑)。国立天文台のCG動画ですが、よく出来ていますね〜。

 

 

さて、都心の星空観測は、天頂付近が頼りなので、今回はヘルクレス座球状星団M13を見てみたいと思います。

今、星空を見上げると、まだアークトゥールスがひときわ明るく輝いています。少し東に、かんむり座、その隣がヘルクレス座です。

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ヘルクレス座周辺の星座(アプリ「iステラ」より)

ヘルクレス座は面積が88星座の中で5番目に広いのですが、3等星より暗い星ばかりの落ち着いた星座です。ちなみにお隣のかんむり座は73番目とかなり小さめの星座ですが、こちらは2等星のゲンマも目立っているし、形が捉えやすいので、いつもすぐに見つけられます。星座は、こぢんまりしている方が、分かりやすいかも知れませんね。

さて、球状星団M13ですが、こちらも北天一と言われる大型で明るい球状星団なので、案外簡単に見つかるかなと思ったのですが、ヘルクレス座のかたちが掴みにくかったので、かんむり座から攻めることにしました。

かんむり座からみると、M13は意外に近くにあるようです。かんむり座 α星のゲンマから ι(イオタ)星の延長方向に、双眼鏡で見ると割と目立つ見かけ上の二重星 ν 1-2 があるのですが、M13はその先にすぐ見つかりました。(あっけない)

双眼鏡で少し付近を眺めると、何となく直線上に並んだ星があって、この直線に沿って視野を移動してやっても、M13に辿り着きます。 

M13の視直径は 20' で、月の視直径の3分の1くらいになります。大きいですね〜。等級も5.8等級で、光害のないところなら肉眼でも見えそうです。

双眼鏡で見ると、恒星とは違って「面」を感じる薄ぼんやりした光を感じます。これはハッキリと「あれだな〜」と分かりますね。

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見かけ上の二重星と直線状の星の並びを目印に(アプリ「星座表∞」より)

さて、ヘルクレス座の中でのM13の位置も確かめておきましょう。

さすがは全天で5番目の面積を誇る星座です。中央上のかんむり座、左下のこと座と比べると、その大きさがわかります。

先程は、かんむり座から見てみましたが、M13はヘルクレス座のかんむり座側、 β星、ζ(ゼータ)星、η(エータ)星の並びにあります。

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ヘルクレス座とM13(星座表∞より)

ζ 星と η 星あたりを拡大してみると、こんな感じです。双眼鏡でみると、この2つの星がちょうど同じ視野の中に入るか、入らないかくらいです。かんむり座 ν 1-2 の二重星も画面の上の方に入っていますね。

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双眼鏡で見た感じは、大きさはちょうどこの星図のM13くらいですが、もう少し全体に白っぽくぼんやりしたイメージに見えていました。

スマホ星図(これは「星座表∞」)では大抵、主な星雲、星団などは拡大表示できるようになっているので、もう少し近づいてみましょう。

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星図を拡大してみた球状星団M13(星座表∞より)

ここで、あれ?と思ったことがありまして、いつも『メシエ天体&NGC天体ビジュアルガイド』(中西昭雄、誠文堂新光社)を参考にしているのですが、中西さんが解説でコメントされているNGC6207が映り込んでいませんね。

中西さんの掲載されているM13の写真にもはっきりと映っているし、Wikipediaの NGC6207のページにも、M13とNGC6207が近傍に並んだ写真が公開されていました。

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球状星団M13とNGC6207(Wikipediaより)

それで、初めて気が付いたのですが、最近の星座アプリは、とてもよくできていて、いわゆるVR(仮想現実)、AR(拡張現実)の技術で、ついつい現実の星空を眺めているつもりになりますが、いわばグーグルマップの衛星写真と同じで、無数の静止画の組み合わせなんですね。

星図として見やすいように、適当なしきい値を設けて、星数や星雲、星団などの天体を絞り込んでいるのでしょう。

なので、やはり、自分で観測するということは、ある意味、大切なことですね。アプリなどで見ているイメージというのは、当然、編集されているわけですから、現実とイコールではないわけです。

個人では、機材の性能にも限界がありますが、やはり、自分で確認するということの意味はあるんだなと、改めて思いました。

 

Wikipedia星図も載せておきますね。

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ヘルクレス座とM13(Wikipediaより)

何となく、人がはねているようにも見えますが、星座としては α星の方が頭で、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが逆さに描かれた状態です。

球状星団M13は、地球からの距離 25,100光年、直径110光年で、数十万個の恒星で構成されているそうです。年齢は100億歳以上。

口径20cm程度の望遠鏡だと、条件が良ければ、中心部まで星に分離できるらしいので、やはり口径25cm以上の望遠鏡が欲しいところですね〜。

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球状星団M13(Wikipediaより)

こちらは、撮影データによると口径32インチ(およそ105cm)の望遠鏡で撮った写真らしいです。

最近は、天文台が市民に望遠鏡を貸してくれたりするサービスもあるようですので、アマチュア天体写真でも、こんな写真を撮ることも、夢ではないかも知れませんね。

いや、まだ私にとっては夢のような話ですけど。(笑)

 

 

どうして季節によって天の川銀河の見え方が変わるのか

今年は記録的に梅雨入りが早かったので、なかなか星空が見られませんね。

こういう時は、何かお勉強してみようと思い、考えてみたのですが、そういえば一度ゆっくり考えてみたいと思っていたことがありました。

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立ち上がる天の川(Wikipedia

それは、天の川の見え方が、季節毎にどうして変わるのか、ということです。どうして、というと地球が公転しているから、とは思うのですが、どうもはっきり分かったような気がしないのです。

分かっていることを書いてみると、

  • 太陽系は天の川銀河の一員である
  • 天の川銀河はレンズ状の形をしている
  • そのレンズ状の銀河を内側から眺めているので天の川が帯状に見えている
  • 太陽系は天の川銀河の中心から2万5千光年くらい離れたところにあるので、中心方向は明るく、反対方向は暗く見える

こんなところですかね。

都心では、光害で天の川はなかなか見えないので、今まで、天の川がどのように見えているか、よく知らなかったのですが、ネットでよく「夏になると天の川が立ち上がってくる」などと書かれているので、「そうなんだ」と思いつつ、それ以上自分で調べたことがなかったのです。

 

ところで、先日、天体望遠鏡が欲しいなと思って、いろいろ調べているうちに、「ステラナビゲータ」という天文シミュレーションソフトが目について、買ってみたのですが、これがなかなか素晴らしい。

 

 

いろいろさわってみると、その季節毎の天の川のイメージが、プラネタリウムのように再現できることに感動しました。

それで、これなら、季節毎の天の川の見え方を確認しつつ、地球の公転によってどうして(どのように)天の川銀河の見え方が変わっていくのか、頭の中で整理できるような気がしたんですよね。

といいつつ、生来、3次元の認識に弱い私。いろいろ手を動かして、理解のとっかかりを探ってみたものの、なかなかピンときません。

まず、最初にやってみたのが、「全天」の星図づくりです。つまり、地球は天の川銀河の中にあるわけですから、全天星図で天の川がどこに位置づいているのか、確認したかったのです。

 

ちなみに、これはステラナビゲータではありません。イラストレーターというデザインソフト用の星図作成スクリプトを開発された方がいて、その方のサイトで、星図イラストレーターデータをダウンロードできたので、それを利用させて頂いて、作成したものです。

 

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最初に作成した全天星図

分かりにくいかも知れませんが、ちょうど真ん中で円が接している部分で、右半分を左半分の下側にたたむイメージの全天星図となっています。

青い線が銀河面、黄色い線が黄道、赤い線が天の赤道を表しています。(以後、だいたいそういう色分けにしています)

ステラナビゲータで例えば天球儀を書き出すと、以下の様な美しい天の川銀河のイメージを含む星図が得られたり、とても楽しいのですが、この作業をやり始めた頃は、まだこのソフトを買っていなかったので、まあコツコツと手を動かしてみました。

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ステラナビゲータ11の天球儀でみる天の川銀河

結果としては、星図を自作してみて良かったかなと思うのですが、やはり手を動かすと考えますからね。地球の自転によって、星空が見える範囲がどのように変わっていくのか、春分の日から始めて、12か月分の星図をつくってみました。

 

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天の赤道黄道、銀河面の位置関係は、皆さんがよく引用されているサイト「天文学辞典」などを参照させて頂いて、四苦八苦、作図していったのですが、確かに、5月くらいには、ここ北緯35度では、21時頃、天の川はちょうど地平線と重なるようになって、見えないんですね。一方、天頂には天の川銀河の北極があって、レンズ状の厚みの薄い方向を見ているので、星々の数が少ないです。

 

 

8月になると、地球の公転で星空も90度移動するので、例えばたまに夜9時頃に夜空を見上げたりすると、見えている星座がガラッと変わってしまいますね。90度というのは、地球の自転による日周運動に置き換えると、6時間分の変化となるので、満月が出てから南中するまでと考えると、変化の大きさがわかります。

5月に地平線ギリギリにあった天の川も今は天頂まで登ってきています。また、この季節はちょうど夜空に天の川銀河の中心方向が見えてくるので、南の空のいて座、さそり座あたりを中心に、光害の少ない地域では、ひときわ明るい天の川を望めるでしょう。

季節は巡り、11月の夜空では、天の川は次第に北の空に傾いて、南の空には銀河の南極方向が見えてきます。5月には天頂に銀河の北極があったので、レンズ状の天の川銀河を想像すると、レンズの厚みの薄い方向のちょうど反対側に回った感じです。ちょっとダイナミックな感じがしてきましたね。

これから半年間は、天の川銀河の中心方向からずれるので、比較的夜空に星の少ない季節となります。その分、太陽系にほど近い明るい恒星が主役に躍り出て、空も澄んでくるので、星座観測には適した時期となります。冬の星座の代表格、オリオン座も東の空から登ってきていますね。

2月になると、オリオン座も子午線を過ぎ、天の川は再び、北から南まで大きな円を描きます。ちょうど天の川銀河の中心から反対方向にあたるので、星々の厚みというのはないですが、全体としてはバランスの良い、星空の美しい季節となります。

 

まあ、何となく、季節毎の天の川銀河の見え方の変化がつかめたような気もするのですが、もう少し、天の赤道黄道、銀河面の位置関係を整理してみたいと思います。

 

ネットで探してみると、天の赤道黄道の関係を表す図は割とあるのですが、銀河面を加えた図というのがなかなか見つからないので、頭の体操と思って、天の赤道黄道、銀河面の位置関係を作図してみました。私は星座名が入らないと天球をイメージしにくいので、大雑把に星座も書き込んでみました。

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天の赤道黄道・銀河面と5月の星空

赤が天の赤道、黄色が黄道、青が銀河面です。ここでは、天の赤道を水平面として、地軸を垂直にして書いています。天球の中心は地球で、私は地球の上に立っています。

天球に少し色をつけた半球のエリアがありますが、これは私から見える夜空のイメージです。5月の21時頃の星空です。

夜空の左上の方に「天頂」がありますが、これが私の頭上の方向です。ここは北緯35度なので、天頂は天の赤道から35度北に傾いています。地平線は天頂の方向から90度の方向なので、私から見た地平線は、図の「北緯35°の地平線」のラインとなります。

ここで、図で見るように、私の見ている地平線と銀河面が、ほぼ重なり合っているのがわかるでしょうか。銀河面と天の赤道のなす角度は、62.6度らしいので、天の北極からいうと、90-62.6=27.4度です。私の地平面の天の北極との角度が35度ですから、かなり近いですよね。つまり、たまたま銀河面と天の北極のなす角度が、私の緯度の天の北極の高度と近いので、この時ちょうど、銀河面が地平線と重なったのですね。

同様に、季節毎に見える星空の範囲を考えてみました。

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北緯35度から見える季節毎の星空と天の川銀河

8月になると星空(天球に少し色をつけた半球のエリアです)がだいぶ手前の方向に回転してきました。これは、太陽が黄道を反時計回りに移動するにつれて、夜空の見える方向も反時計回りに回転するためですが、これから更に夜が更けるにつれて、日周運動のために、天球が1時間に15度、(天の北極を中心に)反時計回りに回転していくので、夜半には天の川銀河が地平線に対して直立して、北から南まで大きな弧を描くわけですね。

11月には、星空はさらに90度移動し、天の川銀河は、天の北極側に横たわり、日周運動とともに、天の北極を中心に、ちょうど相撲の弓取り式の弓のような感じで、クルッとひっくり返ります。日没後には、銀河の南極側が見えていたのに、明け方には銀河の北極側が見えてきます。ちょうど茅の輪くぐりをしている感じかな。

2月の星空は、ちょうど銀河中心方向と反対側なので、天の川銀河も少しさみしい感じです。次第にまた銀河面が北緯35度の地平面に近づいてくるので、日周運動によって、大縄飛びしているような感じになります。

 

太陽の黄道上の運行と黄道12星座の関係も整理してみました。太陽と反対側の星座が見えているので、例えば、私は牡牛座ですが、誕生月の頃にはおうし座は見えません。

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太陽の黄道上の運行と黄道12星座

 

では、今度は天球から離れて、地球の公転運動と季節毎の天の赤道黄道天の川銀河の関係をイメージしてみたいと思います。星図はステラナビゲータで作成しています。時刻はすべて深夜0時にセット。春分の日を起点に、3ヶ月毎に星図を出力しました。こうした操作は、すべてマウスクリックで直感的にできてしまいます。わかりやすい! 観測点の緯度も簡単に設定出来るので、ついでに赤道(緯度0度)からみた星図も作成してみました。

赤道からみた星図は、天の赤道が常に一定なので、地球の公転面(黄道)と天の川銀河の位置関係がわかりやすくなりますね。銀河中心方向の星空で天の川銀河の傾きが逆だなと思ったら、地球から銀河中心方向を見ているので、鏡像になっているんですね。

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地球の公転運動と季節毎の天の赤道黄道天の川銀河

こうしてみると、地球の公転運動で、天の赤道黄道天の川銀河の位置関係がどうして変化していくかが、よく分かりました。やはり、赤道(北緯0度)からみた星図のイメージが一番シンプルで、理解しやすいです。6月頃の星図が鏡像なので、一瞬考えてしまいますが。(笑)

大雑把にいうと、春分の頃は銀河北極の方向が見えていて、夏至に近づくと銀河中心の方向を向いて、銀河面が立ち上がり、秋分の頃には銀河南極の方向で、冬至には銀河中心と反対方向で、再び銀河面が立ち上がってくる、そんな感じですね。

 

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さて、長くなってきました。最後に、銀河面と太陽系の位置関係を少しだけ。次の図は、銀河北極の方向から銀河中心を見たイメージになっています。北黄極の銀緯29.8度というのは、銀河面に対して黄道面が 90-29.8=60.2度ほど傾いているという意味ですね。また、銀河面と黄道面の交わる線は、正確には銀河中心から 90-96.4=6.4度ほどズレているようです。まあ、しかし天の川銀河は厚みがあるので、銀河面と黄道面の交線はほぼ銀河中心方向を向いていると考えても良いでしょう。

 

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黄道座標系|天文学辞典より

 

下図は、天の川銀河を上から見た想像図ということです。太陽系は銀河中心から2万5000光年ほど離れたところに位置し、オリオン腕という恒星の集団の一員なのだそうです。

上でみたように、銀河面に対して、太陽系は60.2度の傾いていますが、黄道面は銀河面に対して直交しています。つまり、黄道面と銀河面の交わる線がほぼ銀河中心の方向を向いている、ということです。

そのため、私たちは、地球の公転によって、北半球の夏には銀河中心側を、半年後にはその反対側をと、ダイナミックに変化する星空を観察しているわけですね。

ちなみに、太陽系は銀河面上をヘルクレス座の方向に進んでいるそうです。その方向を、太陽向点と言うんですね。

 

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天の川銀河の見え方について、調べてみようと思って、2週間くらい経ったでしょうか。ネットでいろいろ検索していたら、だいぶ前に、詳しく調べて記事にされた方がおられました。

こちらの方の記事の方が、きちんとつめて、詳しく書かれているようですので、もしご覧になっていないようでしたら、のぞいてみてくださいね。

 

 

 

最近の観測技術の進歩で、系外惑星の発見が驚異的に進んで、地球のような星はむしろ平均的な存在ではないかと、考えられるようになっているようです。

ハビタブルな宇宙——。量子宇宙論も面白いですが、こちらも妙にリアリティがあって興味深いテーマだなと思うようになりました。

本当に「未知との遭遇」があるかも知れない、そう思って天の川銀河を眺めるのも、また楽しいじゃないですか。 

 

 

梅雨が明けると、また天の川が立ち上がってくる季節ですね。

少し郊外に出かけて行って、天の川銀河を眺めてみようかな。

 

 

蛇座 球状星団M5

最近、気のせいかお天気に恵まれて、星空を見る機会が多いような。

今日も、良く晴れて、上層の薄雲もあまりないので、前回の続きで、牛飼い座から冠座(かんむり座)、蛇座(へび座)と巡ってみました。放射冷却のせいか、ちょっと外に出ていると、寒いですね〜。

さて、今回のお目当ては球状星団M5です。M5は、ヘルクレス座のM13についで、北天で2番目に明るい球状星団です。

星図でみてみると、M5の周辺には、目印になりそうな明るい星はありません。アルクトゥルスを基準に考えると、前回のM3のちょうど反対側、ちょうどアルクトゥルスとM3の距離の2倍くらいの位置にあります。

まあ、せっかくなので、ちょっと星座を巡りながら、探してみることにしました。下図は、アプリ「iステラ」の画面キャプチャです。

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蛇座周辺の星座

牛飼い座のアルクトゥルスからすこし北寄りに双眼鏡を動かすと、すぐに冠座(かんむり座、Corona Borealis)が見つかります。Corona Borealis は「北のかんむり座」の意で、わざわざ「北の」がついているので、当然「南のかんむり座(Corona Australis)」もあるんですね。ただ、南のかんむり座は、蠍座(さそり座)の尾の下、日本の大部分では、地平線ぎりぎりとなるので、日本でかんむり座といえば、北のかんむり座になるわけです。

冠座(かんむり座)のα星の名前はゲンマ(Gemma)で、gemmaはラテン語で「宝石」らしいですよ。

こちらは、アプリ「星座表∞」のキャプチャです。

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アルクトゥルスの北側すぐのかんむり座(α星はゲンマ)

さて、蛇座ですが、この星座、蛇遣座(へびつかい座)を挟んで、頭部と尾部に分けられていることもあって、形がつかみにくいが、双眼鏡で、冠座(かんむり座)から少し南にたどると、蛇座の頭部がすぐ視野に入ります。

蛇座の頭部は、その名に似合わず、双眼鏡でみると、思いの外、美しいです。蛇座Β(ベータ)星は、視等級3.65で、けっして目立った星ではないのですが、周辺の星の粒度がそろっていて、星の色もいろいろで、秘密の宝石箱のようです。

蛇座Β星から、更に南に下がると、視等級2.63の蛇座α星がすぐ見つかりますが、M5はその西側にあるようです。

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蛇座(頭部)とM5(アプリ「星座表∞」より)

「双眼鏡で星空ウオッチング」では、蛇座η星、μ星、M5で正三角形をつくるとありました。

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蛇座α星、またはη星・μ星からM5へのアプローチ

下図は、アプリ「星座表∞」のキャプチャを加工したものですが、M5付近の星が、ミニ・カシオペア座のようなかたちをしていて、これが見つかれば、M5はすぐにわかるような気がします。

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M5付近の星

で、今日は比較的空が好条件だったためか、割とすんなりとM5を確認できました。「あ〜、あれだな」です(笑)。さすがは、北天で1、2を争う球状星団です。

私の双眼鏡8×42では、暗めの恒星の周りがぼやけたような、そんなイメージですけどね。いいんですよ、そんなもんです。

これは、Wikipediaの画像。ちょっと甘いかなぁ。いや、かなり中心部まで分解できていてすごい。

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球状星団M5(Wikipediaより)

(参考)
M5 (天体) - Wikipedia

 

球状星団M5は、星数10万以上、直径165光年、年齢130億年、地球からの距離2万4500光年で、天の川銀河のハロー部分に位置する代表的な球状星団です。

ちなみにハロー部分の半径は7万光年くらい、銀河面の厚みは1万5000光年なので、比較的近傍の球状星団と言えるでしょう。だから、大きく見えているんですね。

 

花冷えというんでしょうか、かなり寒かったですが、今日くらい、空が澄んでいると、都心部でも十分楽しめますね〜。

 

  

初めての双眼鏡で星空観察(牛飼い座 M3と 髪座 Mel.111)

とりあえず手軽に星空に親しめたら、と思って、よい本を探していたら、「双眼鏡で星空ウォッチング」(白尾元理、丸善出版)という本が見つかったので、購入してみました。

パラパラと読んでみた感じでは、思っていたとおりの本で、大変良かったです。アマゾンの古本で購入したのですが、たぶん未読本ですね。良い買い物でした。

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さて、今日は雨なので、この数日の星空ウォッチングを書いておこうかなと思います。だいたい、午後10時から12時くらいに、気分転換で、気が向くとちょっと庭に出て、星を眺めているのですが、なにせビルの谷間なので、どうしても天頂付近がメインとなってしまいます。

今は、ちょうど牛飼い座のα星アルクトゥルス(私的にはアークトゥールス)が東の空から次第に高度を上げてきているので、星図でその付近をみると、M3球状星団があったので、これを見つけてみようと思ったのですが、これがなかなか見つかりません。

「双眼鏡で星空ウォッチング」と「メシエ天体&NGC天体ビジュアルガイド」を見ながら、双眼鏡で何日か付近を探してみると、面白いもので、だんだんと周囲の星の配置が頭に入ってきます。星図の星の配置を、星空に見つけられるようになると、とても楽しいです。

牛飼い座も古い星座で、フェニキアからギリシャに伝わったとか。フェニキアは、調べてみると現在のレバノンあたりの地域だったようです。3度にわたるポエニ戦争でローマを苦しめたカルタゴは、フェニキアの植民地でしたね。ローマ文学の最高峰、ウェルギリウスの『アエネーイス』では主人公のアエネーアースはカルタゴの女王ディードーと恋に落ちる場面があります。

実は、フェニキアは、古代ギリシャ語で Φοινίκη(ポイニーケー)と呼ばれたらしく、ポエニ戦争というのは、そこから来ていたんですね。

ポエニ戦争カルタゴがローマを苦しめていた頃、フェニキアはすでにアレクサンドロス大王マケドニア王国にのみこまれていたのですが、その歴史ははるか紀元前15世紀から同8世紀くらいまで続いたとのことで、航海技術に長け、カルタゴからイベリア半島まで、力をのばしていました。

そのためか、古代エジプトメソポタミアの影響か、天文知識の水準も高かったようで、それが、紀元前8世紀頃、古代ギリシャに伝わり、ホメロスやヘシオドスの作品に描かれている星座や星につながっていった、ということのようです。

 

さて、脱線しましたが、牛飼い座のイメージはこんな感じです。

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牛飼い座付近の星座(アプリ「iステラ」より)

牛飼い座の足元の明るい星が、アルクトゥルス(Arcturus)で、全天でシリウスカノープスに続いて3番目に明るい星なので、すぐに見つかります。

今回は、アルクトゥルスを起点に、M3球状星団を探してみました。

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Bootes_constellation_map.png: Torsten Brongerderivative work: Kxx, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

 

これはアプリ「星座表∞」の画面キャプチャに書き込みしたものですが、牛飼い座α星アルクトゥルスのすぐ近くには、牛飼い座η(エータ)星が見つかりますが、M3球状星団は、アルクトゥルスとη星を結ぶ線からおよそ60度ほどの角度の方向にあるようです。ただ、M3の近くに、あまり明るい星はありません。

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「双眼鏡で星座ウォッチング」には猟犬座α星とアルクトゥルスを結ぶ線のほぼ中間にあるという説明ですが、猟犬座α星はちょっと遠いので、アルクトゥルスから、牛飼い座12番星、9番星、3番星と辿ってみました。

双眼鏡で覗いた視野でいうと、アルクトゥルスと12番星がちょうどひとつの視野に収まる感じになります。双眼鏡の視野は、だいたい7度らしいので、それを目安に辿って行けそうな星を探すわけです。

12番星が見つかると、今度は12番星、9番星、3番星をひとつの視野に入れることができるでしょう。後は、9番星と3番星を結ぶ線から60度の方向に、ちょうど同じくらいの距離を目安に、M3を探します。

 

この本にも、9番星と3番星、M3が正三角形をつくる、と書いてありますので、その辺りを眺めていると、視等級6.22のヒッパルコス66725という暗めの星が見えてきますが、M3球状星団はそのすぐ左にあるはずです。

あ〜、あれかなぁ(笑)。M3球状星団は、6.39。都心部の光害の中では、私の双眼鏡8×42くらいでは、ぎりぎり見えるかどうかですが、ヒッパルコス66725は割と空の状態が良い時には確認できたので、見えてもおかしくはないですね。

といっても、心の目で見るというのに、かなり近い感じですが、暗い恒星の周りがちょっと滲んだ感じで、確認できました。やった〜!

いいんですよ。こんな感じで。でも、口径30cm、焦点距離2000mm以上の望遠鏡で覗いてみたら、どんな感じだろう、と思わなくもないですね。(泣笑)

 

というわけで、これがM3球状星団です。

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M3球状星団

HST / Fabian RRRR, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

 

M3は、シャルル・メシエが彗星に似た天体をカタログにまとめる契機となった天体とされています。(M1,M2はすでに発見されていた天体なので)

50万個の恒星を抱える大きな球状星団で、直径180光年、年齢80億年、地球からの距離は約3万3900光年です。ちなみに、太陽系の銀河中心からの距離が、2万5800光年で、球状星団の多くは、天の川銀河の渦から遠く離れた銀河ハローという部分に位置する天体です。

 

負け惜しみは言ってみたものの、やっぱり、ちょっと達成感が薄いので(笑)、近くの髪座(かみのけ座)の散開星団、Mel.111を探してみました。

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髪座(かみのけ座)付近の星座(アプリ「iステラ」より)

髪座(かみのけ座)はα星でも視等級4.3、星座の輪郭がはっきりしませんが、双眼鏡で付近を眺めると、控えめな輝きの星が無数に散りばめられていて、髪座(かみのけ座)とはうまい表現だなと思えます。

髪座(かみのけ座)は、ベレニケの髪(Coma Berenices)と呼ばれていて、エジプトの王妃ベレニケが、故あって自慢の美しい髪を神殿に供えたものを、その美しさに魅せられた大神ゼウスが星座にしてしまった、というのが謂われだそうです。星座の設定者は、ティコ・ブラーエです。

散開星団Mel.111は、見かけの大きさが275′(およそ4.6°)もある大きな散開星団で、ちょうど髪の毛の頭の部分全体がMel.111にあたります。

双眼鏡で眺めると、視野一杯に散開星団が広がって、とても美しいです。

髪座(かみのけ座)のα星、Β星、γ星は比較的に目立たない星ですが、周りも暗いので何となく見つかります。

散開星団Mel.111の範囲は、はっきりしませんが、髪座(かみのけ座)7、8、12、13、14、16、17、18、21、22番星はこの星団のメンバーとのこと。γ星、23番星は含まれないそうです。

星数30ということなので、それくらいの星は双眼鏡の視野に入ってきます。きれいですよ〜。

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No machine-readable author provided. RichardB assumed (based on copyright claims)., Public domain, via Wikimedia Commons

 

これは、アプリ「星座表∞」の画面キャプチャです。右上の明るい星が、髪座(かみのけ座)γ星です。

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散開星団 Mel.111(アプリ「星座表∞」より)

だいたいこんな感じに見えます。双眼鏡で見たイメージの方が透明感があって美しいですね。

散開星団 Mel.111は、星数30、直径22光年で、視等級2.7、地球からの距離260光年です。比較的に近い散開星団なので、大きく見えますよね〜。

ちなみに、髪座(かみのけ座)の方向は、天の川銀河の極にあたるので、銀河面の星や星間物質が少なく、宇宙の深淵部が見通せるエリアです。

こちらも口径20cm以上の望遠鏡なら、多数の銀河が群がった様子がわかるそうです。やっぱり、望遠鏡、欲しいかなぁ。

 

こちらは乙女座銀河団です。右上が散開星団 Mel.111ですね。

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乙女座銀河団(アプリ「星座表∞」より)

 

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ESA, NASA, Public domain, via Wikimedia Commons

 

これは、乙女座銀河団NASAの写真、中央右の明るいのがM86レンズ状銀河、その右端がM84。乙女座銀河団は、太陽系からの距離はおよそ6500万光年、1300から2000の銀河で構成されていて、天の川銀河が所属する局部銀河群は、この乙女座超銀河団の端の方に位置しているといいます。何ともスケールの大きな話です。