天地明撮☆彡

〜かんじんなことは、目に見えないんだよ。心で見なくちゃ〜

ヘルクレス座 球状星団M13

この週末は梅雨の中休みで、久しぶりに星空が見られました。この水曜日が皆既月食だったので、惜しかったですね。

6歳の娘に、月食の解説動画を見せてやると、「月が地球の影に入る」というのは何となく分かったようです。影踏みが好きなので(笑)。国立天文台のCG動画ですが、よく出来ていますね〜。

 

 

さて、都心の星空観測は、天頂付近が頼りなので、今回はヘルクレス座球状星団M13を見てみたいと思います。

今、星空を見上げると、まだアークトゥールスがひときわ明るく輝いています。少し東に、かんむり座、その隣がヘルクレス座です。

f:id:p-in:20210531115745p:plain

ヘルクレス座周辺の星座(アプリ「iステラ」より)

ヘルクレス座は面積が88星座の中で5番目に広いのですが、3等星より暗い星ばかりの落ち着いた星座です。ちなみにお隣のかんむり座は73番目とかなり小さめの星座ですが、こちらは2等星のゲンマも目立っているし、形が捉えやすいので、いつもすぐに見つけられます。星座は、こぢんまりしている方が、分かりやすいかも知れませんね。

さて、球状星団M13ですが、こちらも北天一と言われる大型で明るい球状星団なので、案外簡単に見つかるかなと思ったのですが、ヘルクレス座のかたちが掴みにくかったので、かんむり座から攻めることにしました。

かんむり座からみると、M13は意外に近くにあるようです。かんむり座 α星のゲンマから ι(イオタ)星の延長方向に、双眼鏡で見ると割と目立つ見かけ上の二重星 ν 1-2 があるのですが、M13はその先にすぐ見つかりました。(あっけない)

双眼鏡で少し付近を眺めると、何となく直線上に並んだ星があって、この直線に沿って視野を移動してやっても、M13に辿り着きます。 

M13の視直径は 20' で、月の視直径の3分の1くらいになります。大きいですね〜。等級も5.8等級で、光害のないところなら肉眼でも見えそうです。

双眼鏡で見ると、恒星とは違って「面」を感じる薄ぼんやりした光を感じます。これはハッキリと「あれだな〜」と分かりますね。

f:id:p-in:20210603014013j:plain

見かけ上の二重星と直線状の星の並びを目印に(アプリ「星座表∞」より)

さて、ヘルクレス座の中でのM13の位置も確かめておきましょう。

さすがは全天で5番目の面積を誇る星座です。中央上のかんむり座、左下のこと座と比べると、その大きさがわかります。

先程は、かんむり座から見てみましたが、M13はヘルクレス座のかんむり座側、 β星、ζ(ゼータ)星、η(エータ)星の並びにあります。

f:id:p-in:20210603030626j:plain

ヘルクレス座とM13(星座表∞より)

ζ 星と η 星あたりを拡大してみると、こんな感じです。双眼鏡でみると、この2つの星がちょうど同じ視野の中に入るか、入らないかくらいです。かんむり座 ν 1-2 の二重星も画面の上の方に入っていますね。

f:id:p-in:20210603031407j:plain

 

双眼鏡で見た感じは、大きさはちょうどこの星図のM13くらいですが、もう少し全体に白っぽくぼんやりしたイメージに見えていました。

スマホ星図(これは「星座表∞」)では大抵、主な星雲、星団などは拡大表示できるようになっているので、もう少し近づいてみましょう。

f:id:p-in:20210603032418p:plain

星図を拡大してみた球状星団M13(星座表∞より)

ここで、あれ?と思ったことがありまして、いつも『メシエ天体&NGC天体ビジュアルガイド』(中西昭雄、誠文堂新光社)を参考にしているのですが、中西さんが解説でコメントされているNGC6207が映り込んでいませんね。

中西さんの掲載されているM13の写真にもはっきりと映っているし、Wikipediaの NGC6207のページにも、M13とNGC6207が近傍に並んだ写真が公開されていました。

f:id:p-in:20210603041153j:plain

球状星団M13とNGC6207(Wikipediaより)

それで、初めて気が付いたのですが、最近の星座アプリは、とてもよくできていて、いわゆるVR(仮想現実)、AR(拡張現実)の技術で、ついつい現実の星空を眺めているつもりになりますが、いわばグーグルマップの衛星写真と同じで、無数の静止画の組み合わせなんですね。

星図として見やすいように、適当なしきい値を設けて、星数や星雲、星団などの天体を絞り込んでいるのでしょう。

なので、やはり、自分で観測するということは、ある意味、大切なことですね。アプリなどで見ているイメージというのは、当然、編集されているわけですから、現実とイコールではないわけです。

個人では、機材の性能にも限界がありますが、やはり、自分で確認するということの意味はあるんだなと、改めて思いました。

 

Wikipedia星図も載せておきますね。

f:id:p-in:20210603105924p:plain

ヘルクレス座とM13(Wikipediaより)

何となく、人がはねているようにも見えますが、星座としては α星の方が頭で、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが逆さに描かれた状態です。

球状星団M13は、地球からの距離 25,100光年、直径110光年で、数十万個の恒星で構成されているそうです。年齢は100億歳以上。

口径20cm程度の望遠鏡だと、条件が良ければ、中心部まで星に分離できるらしいので、やはり口径25cm以上の望遠鏡が欲しいところですね〜。

f:id:p-in:20210603111744j:plain

球状星団M13(Wikipediaより)

こちらは、撮影データによると口径32インチ(およそ105cm)の望遠鏡で撮った写真らしいです。

最近は、天文台が市民に望遠鏡を貸してくれたりするサービスもあるようですので、アマチュア天体写真でも、こんな写真を撮ることも、夢ではないかも知れませんね。

いや、まだ私にとっては夢のような話ですけど。(笑)